001

 迷った。 入学式を30分後に控えた第一高校キャンパスの一角で、姶良姫奈は途方に暮れた目を空へ向けていた。 開場1時間前に学校に到着したのがいけなかったのか、適当に時間を潰そうと講堂を離れてしまったのがいけなかったのか。どこを曲がっても同じ道だな、と気付いた時にはもう遅く、彼女は …
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002

 真由美に先導されて歩くこと数分、姫奈はようやく講堂前にたどり着いた。想像どおり忙しかったらしく、小走りに去っていく真由美の背中を見送った彼女は、今度はさすがに迷うことなく講堂の扉の向こう、第一高校入学式会場へと潜り込んだ。 第一高校。正式名称、国立魔法大学附属第一高等学校。国家 …
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003

 やれ甘い物は好きか、それコーヒーか紅茶か。達也の鉄面皮に狼狽と辟易が見え隠れするのが面白く、姦しく彼を囲うこと数分。「お兄様」という呼び声が振りかかるに至って、姫奈たちは達也への悪ノリを切り上げることにした。 「お待たせいたしました。……そちらの方たちは?」 楚々と取り澄まし …
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004

 一年分の恥を一時間かそこらでかき、弄り弄られの役回りが一巡したあたりで、昼食の席はお開きとなった。日の高さも未だ本調子ではなく、17時にはそれなりに暗くなる。最寄り駅まで送っていくという達也の申し出に感謝しながら、女性4人は思いがけないロスタイムまで存分に尽きない話を楽しんだ。 …
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